#32
 

AIはマーケティングをどう変えるのか?将棋の思考はAIでどう変わったのか?プロ棋士と語るAIの未来について

2016年7月22日(金)開催の第32回目は、株式会社シンクロ代表取締役社長/オイシックス株式会社 CMO 西井 敏恭 様にご登壇いただき、プロ棋士でデジタルマーケティングにも詳しい遠山雄亮プロと、今後、デジタルマーケターが目指すべき姿や考え方、スキルなどについて、じっくり対談していただきました!

満席のため、お申し込みを締め切らせて頂きました。今回は特別企画 書籍プレゼント!!を実施いたします。

KeywordAI(人工知能)

(左から)株式会社クリエイターズマッチ 代表取締役社長 呉 京樹様、モデレータ 小川様、プロ棋士 遠山 雄亮様、株式会社シンクロ代表取締役社長/オイシックス株式会社 CMO 西井 敏恭様、主催・司会 原田

(左から)株式会社クリエイターズマッチ 代表取締役社長 呉 京樹様、モデレータ 小川様、プロ棋士 遠山 雄亮様、株式会社シンクロ代表取締役社長/オイシックス株式会社 CMO 西井 敏恭様、主催・司会 原田


第32回目のWebマーケティングリレーセミナーのテーマは人工知能。
ここ最近の注目キーワードでもあり、第4次産業革命のキーになるとも言われています。この人工知能はマーケティングの世界にどんなインパクトを与えるのでしょうか。今回のセミナーは、金曜日の夜開催でしたが、予想を上回る応募数で席を増やしたほどでした。

セミナーレポート

テーマは、「AIはマーケティングをどう変えるのか?将棋の思考はAIでどう変わったのか?プロ棋士と語るAIの未来について」。セミナー形式も対談というこれまでとは異なります。
株式会社シンクロ代表取締役社長 / オイシックス株式会社 CMOを兼任しECマーケティングのプロフェッショナルである西井敏恭様が日本将棋連盟棋士のプロ棋士でありながら同連盟のモバイル編集長兼プロデューサーも務める遠山雄亮様をお迎えして、人工知能が働き方やマーケティングの考え方がどうチェンジするか、その将来を語り合いました。

コンピュータ将棋を通じてプロ棋士が将棋を見つめ直した


対談は、人工知能の歴史、そして現在の状況からスタート。プロ棋士の遠山様をお迎えしているだけあって、AI将棋をモチーフに語られていきます。遠山様は、プロ棋士と人工知能将棋対局を5年ほど前からプロデュースしていましたが、ここ数年の人工知能の発達に驚いているそう。オンラインアプリを通じて将棋人口が増えてきており、最新の電王戦(プロ棋士VS人工知能の対局)では、総閲覧数が200万人を超えるほど盛り上がっています。

西井様は、グノシーやIBMのワトソンの事例、転職マッチング、クレジットカードの不正利用など実際に人工知能を活用している事例を見ながら、どのように成果を上げているのかを取り上げました。ウェブマーケティング業界においては、アドテクノロジーやマーケティングオートメーションでユーザーごとに最適化するECサイト、UI設計やデザイン、さらにはコンテンツ作成も人工知能が絡んできていることを紹介しました。

そして、遠山様はプロ棋士とコンピュータ棋士ソフトの対局である電王戦について取り上げます。この電王戦を通じて、今後の人と人工知能の付き合い方が暗示されていて、人間と人工知能の考え方の違いにも注目が集まってきているのではないかと考察しています。人間のプロ棋士が負け越してしまったことで人間側の落胆ぶりが際立ったそうですが、勝った5人のプロ棋士のうち4人は20代以下であり人工知能への理解があったこと、自分のスタイルを崩してでもAIの弱点を突いた将棋をしたそうです。強い人工知能将棋ソフトの登場によって、強い棋士であるというアイデンティティーが変化し、人間の将棋に対する考え方が変わり人工知能の考え方から人間の考え方を振り返るという変化が将棋界に起きたのです。つまり、コンピュータを受け入れる人と受け入れられない人で勝敗が決まったそうです。

この現象を西井様がウェブマーケティングの世界のこととして言及します。マス広告からターゲティング広告に変わり、現在はマーケティングプランナーが決めているターゲティング設定などは人工知能に置き換わる。この将棋で起きた現象を自分達の仕事で見つめないと人工知能のインパクトに付いていけないと指摘しました。

ビッグデータから人工知能に変わった時、将棋ソフトの強さが変わった。

対談は人工知能将棋ソフトの進化とマーケティングが進化する歴史には類似性があるという話になってきます。棋譜データベースが登場した時、そのデータを生かした棋士が強くなっていきました。これは、マーケティングの世界でも解析ソフトが登場してさまざまなデータを解析してマーケティングデータに活かすという現象に似ています。そして、棋譜データがネット上に広がるとそのデータをコンピュータに学習させたところ爆発的な進化を遂げるようになりました。人工知能には、ビッグデータを機械学習することによって独学で強くなる現象が起きたのです。一方、ウェブマーケティングにおいても、キーワードレコメンドなどを人工知能がしてくれるが100%信用はできないので、マーケッターが調整している状態に似ていると指摘。現状は、将棋界もウェブマーケティング業界もこの段階だそう。

ただし、将棋界は2017年には羽生善治名人と人工知能との対戦があるかもしれず、もし、ここで人工知能が勝ってしまうと、ついに人工知能が人間に勝つという段階に到達しようとしています。その時、人間のアイデンティティーがゆらいで来るのではないかと予想しています。さらに、将棋界の人工知能は人間の力に頼らずに独自の思考で強くなるソフトが登場しようとしています。この状況の中から、人間のアイデンティティーは人工知能側から影響を受けるのではないかという話になりました。

人間が強みを出すところは? そして共存できる方法、そしてビジネスはどう変わる?


このような将棋界で起きた人工知能が人間の棋士に与えた影響を受けて、ウェブマーケティングの世界ではどんな変革が起きようとしているのかを西井様がまとめていきます。

AIが発達・発展しても人間が強みを発揮する場所はどこなのか? について話し合いました。将棋の世界で言えば先を予見するのは人間が上だということで、商品をレコメンドするのは人工知能はできるけれど、そこから新しい商品を見つけてくるのは人間が強みを発揮するのではないかと。そして、人間の得意分野は物事を系統立てることだと遠山さんは指摘しました。

次に人工知能と人間との共存関係について。人間が人工知能に依存することはあっても、人工知能が人間に寄り添うことはないので、共存関係はないのではないかと遠山さんは指摘します。人工知能をうまく使いこなして人間の能力を発揮する方法を見つけるのは難しいが、それを考えなくてはいけないという話をしていました。


将棋の世界はデータ活用が入ったことで無機質化が進んできているそうです。しかし、人工知能によってその考え方が変わってくると遠山さんは指摘します。マーケティングの世界では、画像でさえも人工知能が判断してクリックされるバナーを作り出すのではないかと西井さんは考えてます。その時、クリエイティブの均質化が進んだり、人工知能のリソースをより使える資本力のある企業が生き残るのではいかと危惧していました。これに関しては、やはり人間が介在しないものは人間は興奮しないのではないかと応えていました。

運用型の広告の時代になった時、CVだけで広告を見るのでは人工知能がやっても同じだと西井さんは指摘します。そうではなく、本質的なこと、そのデザインで買いたくなるのか? クリックしたくなるのか? それを考えられるマーケッターは強さがあると。モノを売るということの本質的なことを考えたり、本質的な行動ができることが人工知能時代のマーケッターに必要なことではないかと締めくくりました。

人間の感性、ひらめき、予見する力は人工知能には今のところない

鼎談は、いつものようにモデレーターの小川卓様と次回講師、株式会社クリエイターズマッチ呉京樹様が参加。人工知能がウェブマーケティングに与える役割について語り合いました。呉様は、ざまざまな人工知能のトライアルをする中でクリエイティブの仕事は人工知能に取って代わることはないと考えています。
小川様は、ウェブマーケティング業界における人工知能の応用について実際のツールを紹介しながら紹介していただきました。そこでも小川さんが指摘するのは「なにをすればいい」というアドバイスはまだ人工知能は難しいようです。そのような人工知能にできること、人間にできること、そして人工知能時代における人間の強みについて語り合いました。


今回はいつもと異なる形式でお届けしたウェブマーケティングリレーセミナー。人工知能が人間に与える考え方や働き方の変化について深い考察がなされた内容になりました。
次回は、9月に実施予定。こちらもお楽しみに。

開催概要

日時 2016/7/22 (金) 19:00-21:40
場所 イタリア文化会館 3階 コーチ・ホール

講師紹介

講師

株式会社シンクロ代表取締役社長 / オイシックス株式会社 CMO
西井 敏恭 様/プロ棋士 遠山雄亮 様

2001年に二年半世界一周の旅にでて、三冊の旅行記を出版。http://www.amazon.co.jp/dp/B00DTO1788/ 大手通販会社数社とコンサルティング契約をしながら、世界二周目に。2014年6月帰国後に起業。 現在は大手通販会社数社とコンサルティング契約をしながら、食品宅配ECのオイシックスにてCMOを兼務していらっしゃいます。

対談のお相手 / 次回講師

株式会社クリエイターズマッチ 代表取締役社長
呉 京樹 様

モデレーター

ウェブアナリスト
小川 卓 様