#34
 

東京五輪を勝ち抜くビジネス戦略−空間・変化・行動−

第34回目は「エスノグラフィックマーケティング」がテーマ。東京五輪に向けて、社会動態変化のエスノグラフィック分析を通じた、東京五輪を勝ち抜くエスノグラフィックマーケティング戦略について、法政大学キャリアデザイン学部准教授 / デジタルハリウッド大学客員准教授 田中 研之輔 様にご登壇頂きます。

多数のお申し込み、ありがとうございます。お申し込みを締め切らせて頂きました。

Keywordエスノグラフィックマーケティング

今回のリレーセミナーのタイトルは「東京五輪を勝ち抜くビジネス戦略−空間・変化・行動−」です。このセミナーのテーマとなっている「エスノグラフィックマーケティング」は、日本ではまだ未開拓の分野。新しいキーワードを法政大学キャリアデザイン学部准教授 / デジタルハリウッド大学客員准教授 田中 研之輔様に語っていただきました。


(左から)モデレータ 小川様、 株式会社Schoo 代表取締役社長 森 健志郎様、 法政大学キャリアデザイン学部准教授  田中 研之輔様、主催・司会 原田

(左から)モデレータ 小川様、 株式会社Schoo 代表取締役社長 森 健志郎様、 法政大学キャリアデザイン学部准教授 田中 研之輔様、主催・司会 原田

セミナーレポート

エスノグラフィックとは何?

まず、参加者にエスノグラフィックというものを理解してもらうためのワークショップからスタート。ペアを組んだ参加者に対して、こんな質問が投げかけられました。

『2013年7月にスタートしたセブンカフェが爆発的にヒットした理由は?』

2分間でどれだけの理由を考えられるか挑戦。
各ペアからは、商品の珍しさ、価格、品質など、さまざまな意見が上がりました。

田中様から回答例として出されたのは以下の通りでした。

①品質:味が美味しい
②割安感:価格が安い
③洗練:お洒落なカップ=佐藤可士和がデザイン
④物理的距離:自宅や職場から近い
⑤効用感:リフレッシュ、頭が冴える

『フィットネスジムでシニア層の利用者が増加した理由は?』

答え:フィットネスジム内の鏡を無くしたから。

いかがでしたか?
このようなワークショップのあとに田中様は、エスノグラフィックマーケティングについて、こう定義しました。

日常の行動を観察するマーケティング手法で誰にでもでき、その調査手法は消費者に密着してあらゆる先入観や知識を捨て去り、直接観察しインタビューをすることで、その全体像を明らかにすること。
その結果、従来の調査手法では知り得ない問題やニーズが見えてくる。こうしてあぶり出された情報は、イノベーションのシーンである。

社会の変化スピードが速くなる一方、人類学の手法を応用した行動分析・社会動向分析が求められてくるので、エスノグラフィックマーケティングが注目されてきているのだそうです。

時間ではなく「空間」という軸が加わるエスノグラフィックマーケティング

ノキアのインド進出、MicrosoftやIntelなどグローバル企業ではすでに取り入れているエスノグラフィックマーケティングですが、その手法は日本ではほとんど知られていません。今回のセミナーでは、基本的な調査手法や工程を初心者にもわかりやすく解説していただきました。基礎的な知識を抑えたあとは、再びワークショップです。

『エスノグラフィックマーケティングに適した「素データ」はいくつありますか?』

答え:性別、血液型、出身地、趣味、天気、利き腕、好きな芸能人

エスノグラフィックマーケティングは、質を相手にしたデータなので、年齢や身長、体重など数字で表現できるデータではなく、文字で表現できるデータが適しているそうです。
と、このような参加型でセミナーは進行していきます。他にも車のディーラーのサイトを比較して、どちらが車を買いたいか? その理由は? などなど。
ワークショップで質問される内容は、すべて田中様が関わった実例を元に出されており、それらの解説をとても分かりやすく説明され、エスノグラフィックマーケティングの理解度を深めることができました。

エスノグラフィックに必要な3つのキーワード!

  • 顧客の場所に深く入り込む(顧客の中に入る)
  • どんな環境で顧客が商品を買うのかの裏づけを顧客から調査する
  • 顧客が商品を評価する時の基準には統一性がない。買った後の評価の矛盾から新しい価値を見つける

エスノグラフィックマーケティングのエッセンスを解説した後、テーマは東京五輪へと移っていきました。なぜ、東京五輪を取り上げるのか? 今後、2020年までに東京は急速に空間と行動が変わっていきます。その中で抑えておくべき兆候は2つあるそう。

  • 「消費」より「日常行動」に意味を見いだす
  • 「モノを売る」から「日常行動を生む」への転換

そして、最後のワークショップは、2020年まで、五輪中、そして五輪後に自分が手がける事業にエスノグラフィックマーケティング手法で改善すべきポイントを3つ考えること。参加者は深く考えさせるセミナーとなりました。

締めくくりは、ウェブマーケティングとの比較。エスノグラフィックマーケティングは、時間軸の代わりに空間という要素を入れること。空間軸が入ることがエスノグラフィックマーケティングの強みなのです。このキーワードに注目しながら、2020年までのマーケティングを考えてみるいい機会となりました。

オンライン動画スクールにエスノグラフィックマーケティングを使ったら?

セミナーの最後は、モデレーターの小川様と次回の講師で株式会社Schooの森 健志郎 様を加えて恒例の座談会。
森様はセミナーを通し、エスノグラフィックマーケティングについて、ユーザーの行動を面で捉えること。社会の変数を解き明かしに行くことではないかと理解したそうです。それに対して、田中様はエスノグラフィックマーケティングとデータ分析を組み合わせることで結果を出せるとおっしゃっていました。

小川様からの指摘では、調査サンプルが少ないとエスノグラフィック調査をしても信頼性が低いと判断されるのではないかという指摘。それは、IoTなどの新しいテクノロジーを使って量のデータを取ることも可能になると予見。
さらに、森様のオンライン授業というビジネスにどのようにエスノグラフィックマーケティングを応用すればいいのかなどについて、三人で深く議論が交わされていきました。

ここでは書ききれないほどのたくさんの情報量が詰まったセミナーとなりましたが、新しい情報を持ち帰ることができたと確信しています。次回のウェブマーケティング・リレーセミナーは2月を予定しております。お楽しみに!

開催概要

日時 2016/11/16 (水) 19:00-21:40
場所 イタリア文化会館 3階 コーチ・ホール

講師紹介

講師

法政大学キャリアデザイン学部准教授 / デジタルハリウッド大学客員准教授
田中 研之輔 様

法政大学キャリアデザイン学部准教授 デジタルハリウッド大学客員准教授 社会学(博士) メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員をつとめる。ソフトバンクアカデミア一期生 社会洞察の分析を得意とし、複数社の社外顧問を歴任。 現在:(株)ゲイト、バリュレイト、Huber社、社外顧問 著書に『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』他、多数

対談のお相手 / 次回講師

株式会社Schoo 代表取締役社長
森 健志郎 様

モデレーター

ウェブアナリスト
小川 卓 様