#37
 

ディープラーニング・人工知能概論

第37回目のテーマは「ディープラーニング(Deep Learning)」です。
株式会社情報医療 CTO 巣籠 悠輔 様にご登壇いただきます。

ここ最近、ディープラーニング(深層学習)がますます有名になり、研究やビジネスへの応用もますます活発になってきました。今や「人工知能」という言葉を新聞やテレビで目にしない日はないのではないでしょうか。

今回は、人工知能(ディープラーニング)に関して興味はあるけれど取り組めてはいないという方を対象に、理論の基本から実際の事例などについて解説していただきます。

Keywordディープラーニング(Deep Learning)

第37回目のウェブマーケティングリレーセミナーのテーマは、最近なにかと話題の「ディープラーニング」。先日、AlphaGoが世界最強棋士に三連勝して、異次元の強さを見せましたが、あれもディープラーニングがもたらしたもの。世の中には人工知能に関するたくさんの情報が出回っていますが、まだまだ仕事として取り組んではいないという人のために、株式会社情報医療 CTOの巣籠様をお迎えし、「ディープラーニング 人工知能概論」として、基礎からビジネスに応用するための考え方などまでレクチャーしていただきました。


((左から)モデレーター 小川卓様、株式会社情報医療 CTO 巣籠 悠輔 様、HoloEyes株式会社 代表取締役/CEO 谷口 直嗣 様、主催・司会  原田

(左から)モデレーター 小川卓様、株式会社情報医療 CTO 巣籠 悠輔 様、HoloEyes株式会社 代表取締役/CEO 谷口 直嗣 様、主催・司会 原田


セミナーレポート

講義は、巣篭様の自己紹介からスタート。巣籠様は、Gunosy、READYFOR の創業メンバーとして、エンジニアリング、デザインを担当。その後、電通やGoogleニューヨーク支店勤務を経て、株式会社情報医療を創業。人工知能をビジネスに生かした経験と知見を持っています。
2012年くらいから海外でこのキーワードが注目され、その頃から巣篭様はディープラーニングを研究しており、日本人としては先駆者として著作本も複数出しています。情報医療では、遠隔医療アプリを提供しながら情報を収集し、人工知能で分析ながらより高度な医療を作り上げていくというビジネスを作り上げようとしているそうです。

さて、講義の本編は「そもそも人工知能とは何か?」というテーマから。
人間ができるけど面倒くさいことをやってくれる存在を世の中では人工知能と読んでいると定義。その昔は、炊飯器も人工知能だと言われていたのだとか。(確かに、ご飯を炊くという面倒くさい行為を人間に代わってやってくれましたね)

■学習とはパターンを認識すること。それを機械が学習するようになった

とはいえ、これまで人間と同等の知能を持った人工知能を作る挑戦は「探索・推論によるアプローチ」、「知識表現によるアプローチ」などを経て、ことごとく失敗してきました。
現在のディープラーニングは、第三次人工知能ブームという位置付けで、機械学習と呼ばれるアプローチ。これまでに人工知能はデータとルールを人間が与えていましたが、機械学習は自らが学習しパターンを認識するというものだそう。
このパターン認識を数学的アプローチできるようになったのが、革新的な手法でした。何しろ、データを与えれば機械が勝手にパターンを認識するので、大量のデータ分析が可能になり、ウェブマーケティングなどの実務レベルでも使われているそうです。
ディープラーニングによって、人間の介在がほぼ要らなくなったという人工知能が実現しつつあるそうです。

■ディープラーニングの原型はニューラルネットワーク


テーマは、ディープラーニングの原型であるニューラルネットワークに移ります。人間の脳の構造を模したアルゴリズムですが、脳のニューロンの構造を数値モデル化して紹介。なんと、たった一行の基本式で表すことができるのでした。

y=f(wt x + b)
ニューラルネットワークの基本式

そこから、ディープラーニングのモデルと数式を解説。実はシンプルな合成関数であるが、それが深い層に行けば行くほど複雑な関数を表現できるようになるそうです。さらに、複雑な関数で真のパターンを近似できるようにテクニックを積み重ねたものがディープラーニングだと教えていただきました。

■最新のディープラーニング研究事例を紹介

この世界は三ヶ月で古くなってしまうので、ここで紹介する事例も最新ではないと前置きしながら、ディープラーニングの成果を紹介していきます。視覚から脳が映像を組み上げる脳内の動きは、すでに数理モデル化されているので、ディープラーニングがもっとも相性が良いのは画像認識分野とのこと。

機械が学習を重ねて人間や猫の概念を絵として見つけ出していくケースを紹介。
人間の赤ちゃんがパパやママを認識するように、ぼんやりとした概念からパターンを見出していくそうです。他にも、人間をすでに超えている画像認識能力のケースなど、驚くべき能力を紹介していただきました。さらに、インベーダーゲームやブロック崩しも「ハイスコアを取れ」という目標だけ与えあとは、何度も何度もプレイを繰り返しながら高得点を出すコツを見出していく様子なども紹介。

しかし、機会学習は、言語を必要とせず、人間の知能レベルも必要がないため、本質的にはとても簡単であると巣篭様は解説します。問題は自分の状態をどう把握することができるかが課題でした。ディープラーニングによって、それが可能になったことで、「インベーターゲームで敵の弾に当たっている」とか「ブロック崩しで上のブロックを崩した方が高得点になる」ということを機械が勝手に学んでいけるようになったのです。


そして、今後のディープラーニングの方向性として、まずは時系列データの処理について紹介。
株価や為替、健康状態、自然言語など実社会に多い時系列データの処理を目指しているそうです。例えば、自然言語処理と画像処理を組み合わせることで、新しい産業分野が生まれてくることも予想されます。Googleリアルタイム翻訳やGoogleレンズなどもディープラーニングによって実現できています。

そして、さらに言語の「意味」まで機械が学習し理解するようになると、ウェブ上のビッグデータから勝手に学習していく時代がやってきます。これは、いわゆるシンギュラリティが実現することになるかもしれません。

画像から始まったディープラーニングは、マルチモーダルからの特徴量抽出、さらに言語からの特徴抽出、そして言語からの意味を獲得する領域になっているそうです。
最新の研究では、文章を与えるとそれに基づいた画像を機械が作り出すようになっています。言語の意味が理解できるようになったレベルにまで達している事例を紹介。

機械が言語を学習すれば、海外企業が日本にやってくる参入障壁は低くなります。言語の壁が無くなるとことで、国内産業はグローバルな競争に巻き込まれることになります。
その時、日本企業はどうすればいいのか? は課題になると予測していました。

最後のまとめとしては、大量のデータでスナップショットによる分析の時代から、個々の時系列データからいかに深く分析し、現実世界に介入できるかが問われる時代になってきていると結びました。
質問コーナーでも突っ込んだ話のやりとりがなされ、参加している方々の人工知能への知見の深さにも驚きました。

■もうワンブレークあると、ディープラーニングがシンギュラリティとなる?


さて、セミナーの最後はモデレーターの小川卓様と、次回のセミナー講師である HoloEyes株式会社 代表取締役/CEO 谷口直嗣様をお迎えしての座談会。

谷口様は、VR(Virtual Reality)を使った医療サービスを提供するスタートアップ企業。詳細は次回のセミナーで詳しく紹介するのでお楽しみに。

谷口様からは、NVIDIAのGPUがディープラーニングに使われるようになった話から、人工知能とハードウェアに関する質問が投げられました。それに対して、NVIDIAのような人工知能向けのGPUマーケットを取るのは日本企業は難しいかもしれないが、人工知能を使ったロボットなどで競争力を発揮するかもしれないと予測していました。


一方、小川様からはマーケティングにおける人工知能の応用事例に関する質問。
マーケッターが欲しがるようなウェブの改善ポイントを人工知能が教えてくれるようなサービスは、なかなか実現が難しいそうです。そこから言語解釈の話も。Google検索は人工知能によって飛躍的に検索効率が上がり、翻訳サービスの品質が向上している中で、現在の人工知能は言語の概念を理解しはじめているのではないかと巣籠様は指摘していました。

さらに、小川様から今の第三次人工知能ブームは最後のブームなのか? それとも過去のものとなり、違ったブームがやってくるのか? という問いが投げかけられました。

巣籠様としては、もうワンブレークスルーが来ればディープラーニングによる革命が続くかもしれないと予測。研究は急速に進んでおり、その数理モデルは人間の脳に相当近づいているそうです。
他にも、Adビジネス(広告ビジネス)や金融、保険などの様々な産業で人工知能の可能性などが話し合われ、あっという間に時間が過ぎていきました。

次回は、2017年7月19日(水)に開催。
VR(Virtual Reality)の多様な事例が見れるセミナーになりそうです。お楽しみに!!

開催概要

日時 2017/5/18 (木) 19:00-21:40
場所 イタリア文化会館 3階 コーチ・ホール

講師紹介

講師

株式会社情報医療 CTO
巣籠 悠輔 様

Gunosy,READYFOR の創業メンバーとして、エンジニアリング、デザインを担当。 大学院修了後は電通にてデジタルクリエイティブの企画・制作、ディレクションに従事。Googleニューヨーク支社勤務を経て、株式会社情報医療を共同創業。 2016年9月より東京大学招聘講師。 著書 「Java Deep Learning Essentials」 等 東京大学工学部システム創成学科卒(首席)、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻卒

対談のお相手 / 次回講師

HoloEyes株式会社 代表取締役/CEO
谷口 直嗣 様

モデレーター

ウェブアナリスト
小川 卓 様