#43
 

これからの“デザイナー”について考える

第43回目のテーマは「デザイナー(designer)」です。
SHIFTBRAIN Inc. Design Director / Branch Manager / Designer 鈴木 慶太朗 様にご登壇いただき、これからの“デザイナー“について、海外の事例も含めその役割や領域とその変化を、さらにスタッフとしてのデザイナーのマネジメントについてもご講演いただきます。

お申し込みを締め切らせて頂きました。

Keywordデザイナー(designer)

第43回目のウェブマーケティングリレーセミナーのテーマはデザイナー。デザイナーの鈴木慶太郎様をお迎えして、デザインの未来の姿について語っていただきました。


(左から)主催・司会 原田、SHIFTBRAIN Inc. Design Director/ Branch Manager / Designerの鈴木 慶太朗様、モデレーター 小川卓様

(左から)主催・司会 原田、SHIFTBRAIN Inc. Design Director/ Branch Manager / Designerの鈴木 慶太朗様、モデレーター 小川卓様


セミナーレポート

今回の講師は、SHIFTBRAIN Inc.の鈴木慶太朗様。テーマは、これからのデザイナーについて。世界的に活躍する鈴木様から、どんなデザイナー像が語られるのでしょう。
まずは、自己紹介。家族構成まで詳しく語る内容でしたが、選んだ大学は意外にも立教大学経済学部。在学時にデザインを学び、制作会社を経て現在はSHIFTBRAIN Inc.のデザインディレクターとしてオランダ支社のマネージメントを任されているそうです。最近の著書は、「Web デザイン、これからどうなるの?」という本。今回のテーマである「これからのデザイナーについて考える」と重なります。


最初に流された映像は鈴木様が手がけた作品でした。在籍しているSHIFTBRAIN Inc.が手がける事業内容をまとめたものでした。映像制作、コピーライティング、サイネージ、Web制作などさまざまなクリエイティブをカバーしています。そんな鈴木様が考えるデザイナーとはどんな存在なのでしょうか。


デザイナーの進化の姿を総括

これからのデザイナー像を考えるために、まずは自身の過去から振り返っていきます。デザイナーになろうとしたきっかけは、大学2年に入った経営史のゼミ。ここでDiorとBENETTONというブランド経営の歴史を調べることになりました。その2つのブランドの経営スタイルは、アウトプットするデザインの違いにもつながっていることに気づきデザインに深く興味を持ったそうです。
しかし、美大か専門学校に行かないとデザインの勉強ができない。そこで、2004年時点にデザイン業界について調べてみると、2000年頃から広告代理店からデザイナーが独立し、有名クリエイターが誕生していた時代でした。当時考えたのは、広告代理店から独立するといいグラフィックデザイナーになれるということ。それを目指すために、グラフィックデザインの週末コースに通ったそうです。しかし、デザイナーとして就職するには一般の大学からでハードルが高く、なんと大学4年からフリーランスデザイナーとして活動しました。その頃は、圧倒的にWeb サイト制作が多く、独学で受注するようになったそうです。

2005年頃になると大きな変化を迎えます。ユニクロがニューヨーク出店を機にロゴを変える判断をし、Webサイトでも大きくUIとUXを変えました。記者会見では社長の隣にデザイナーが座るという状況。まさに、デザイナーの立ち位置が変わっていった時代でした。この時代に鈴木様は、経営の中にデザインの力が大きく関わりはじめていることを目の当たりにしたのです。

そして、2007年にはiPhoneの発表、2008年にはフェイスブックとツイッターの日本語版がリリース。その結果、マス広告×Web×SNSが連動したキャンペーンが登場するようになったのです。

時は、2011年のFLASH全盛期。実は、世界から日本のWebデザイン力に注目が集まっていた時代に鈴木様は細々とフリーランスでWebデザインをしていたそう。でも、しっかりグラフィックの仕事をやりたくて転職するもWeb担当になります。本人の想いとは別にWebの勢いを感じ、SHIFTBRAIN Inc.に転職。FLASHサイトが隆盛とSNS連動キャンペーンなどを手がけることとなります。

その中でiPhoneのFLASH非対応、個人情報保護法によるSNSキャンペーンのガイドラインが変更というWeb業界に激震が走る事件が発生し、時代はレスポンシブデザイン、そしてWebキャンペーンが減少するという時代を迎えます。

そこで考えたのが、iPhoneやタブレットでも表現力のあるデザインができないだろうかということ。それに必要なのは、デザイナーとデベロッパー間のコラボレーションを強化して表現力を切磋琢磨することでした。

講義の前半は、このようにデザイン業界の変遷を鈴木様の手がける仕事の変化を併記しながら解説していただきました。


日本と海外のクリエイティブ業界の変化とデザイナーのロールモデル

後半は、日本のクリエイティブ業界のモデル構造の変化について取り上げます。これまでは、企業とマスメディアの間に広告代理店が入ってマスメディアに広告を流すモデルでした。広告代理店にはクリエイティブがあり、企業には宣伝部があって広告を作っていました。

そこからクリエイターが独立する動きで広告デザイン会社にいる有名デザイナーが企業や広告代理店とやり取りするモデルが生まれます。そして、実際の制作はデジタル制作会社が請け負うというモデル。

そのデジタル制作会社も、デザインやマーケ、テック、サービスなどに特化していきます。

さらに、そのモデルも変化し、現在は有名デザイナーの元にデザイン、マーケティング、サービスの機能が入り、企業が直接声をかけてクリエイティブを制作する形になります。

そこから企業側に戦略コンサルが入っている形。あるいは、戦略コンサルがデザイン会社を買収してUXデザインをするモデルに変化してきているそうです。このように企業の広告がデジタルにシフトする中でデザイン会社の立ち位置が激変していることを俯瞰的に解説していただきました。

一方で海外のクリエイティブ業界についても解説。同様にデジタルシフトする中での変革についてわかりやすく解説し、海外の動きをキャッチアップすることの重要性を伝えました。

さて、ではデザインの立ち位置はどう変わっていくのでしょう。そのキーワードはコンサルティングのようです。ビジュアルデザインは個のスキルやセンスに依存していましたが、ビジネスプロセスをデザインするといったコンサルタント的な立ち位置が生まれてきているそうです。

その動きの中でこれからのデザイナーが求められるポイントとして挙げたのは、デジタルシフトによってクリエイティブの構造が崩れつつあること。デジタル制作会社が、それぞれの特化した分野に分かれ、クリエイティブの起点になりつつあること。一方で特化した分野ごとでカルチャーが異なるので、デザインのマネージメントやプロセスが異なっていることを指摘しました。

そして、今後はデザイナーもより戦略的な視点が求められると言います。実際に鈴木様も経営層と打ち合わせをすることが増えてきたと言います。

今後もデザイナーとして生き残るためには、海外からのバズワードは追っかけておくことが重要だそう。UXやエクスペリエンスデザイン、デザインエンジニアリングなど多くのバズワードは海外から入ってきます。そして、多様化するデザイン業界の中で自分のロールモデルを常に考えておくことが重要だと締めくくりました。

その後の質疑応答でも、デザイン戦略とは何か? どうすれば実践できるか? 戦略によって効果があるのか? イノベーションを生むデザイナーとは? デザイナーの意識の変え方など、など突っ込んだやり取りがなされ、時間をオーバーして講義のパートは終了しました。


締めくくりはいつもの座談会ですが、今回は次回の講師が決まっていないので、モデレーターを務めるデータアナリティクスとの小川さんとの対談となりました。

小川さんが今回のセミナーで心に残ったのは、デザイナーも一つの役割にとどまるのではないという言葉だったそう。データアナリティクスの世界もハイブリット型のロールモデルが求めらており、どの分野でも大きな流れになっていると感じたそうです。

対談では、デザイナーがアウトプットする作品の評価方法やデザイナーのこだわりについて、ロールモデルの変化、スキルセットの身につけ方などについて話し合われました。


次回のWebマーケティングリレーセミナーの予定はまだ未定ですが、決まりましたらWebサイトなどでお知らせいたします。お楽しみに!

開催概要

日時 2018/5/18 (金) 19:00-21:40
場所 イタリア文化会館 3階 コーチ・ホール

講師紹介

講師

SHIFTBRAIN Inc. Design Director / Branch Manager / Designer
鈴木 慶太朗 様

鈴木 慶太朗 Keitaro Suzuki 1984年生まれ。東京出身、2児の父。立教大学経済学部卒。大学在学時にグラフィックデザインを学ぶ。制作会社数社を経て、現在はシフトブレインでデザインディレクターとして勤務し、オランダ支店のマネージャー。ブランドディレクションからのビジュアルコミュニケーション設計をベースに、クロスメディアプラットフォームに対応したデザインディレクション、デザイン、UXやUIの設計を行っている。世界的なWebデザインアワード、Awwwards審査メンバーを2013年から務めている。 http://keitarosuzuki.com

モデレーター

ウェブアナリスト
小川 卓 様